定年後の情報

定年後の医療保険、見直しのススメ!その理由と高額療養費制度の活用法

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今回の動画では、『定年後は医療保険って本当に必要なのか?』というテーマでお話しします。たぶん多くの人もぼくと同じだと思うのですが、僕自身は、社会人になんだから、保険ぐらいは入っておかなきゃ、とか、家族ができたんだから保険に入っておくのが責任…みたいな、いわゆる大人の常識のような雰囲気であまり深く考えずに保険に入ってました。

でもじつは民間の保険制度に多くの人が加入するのは、日本特有のものらしいのです。 世界でいちばんの保険大国は米国ですが、米国の場合は日本とは事情が異なります。米国には日本のような公的な健康保険制度がありません。そのため民間保険会社の医療保険に加入していないと、病気の際に治療費がとんでもない高額になってしまい、保険に加入していない場合、払える見込みがないと判断されれば治療をしてもらえません。だから米国では、医療保険は生活する上で必須の保険で、だからこそ世界一の保険大国となっているのです。

でも日本には公的な医療保険制度がありますから医療費がとんでもなく高額になることはほとんど考えられません。また万一、手術や入院など高額な医療費が必要となる病気となっても、そのほかの公的制度をうまく使えば、十分対応できる制度が用意されています。高齢になってくると、老後のためになにかとお金も必要になりますし、特に定年後、収入が減る中で、無駄な出費を抑えたいですよね。ですから、今回は医療保険の見直し、必要がないと思われるその理由を、高額療養費制度を中心に具体例を交えて説明します。

民間の医療保険・生命保険は本当に必要か?

まず、なぜぼくが『定年後は医療保険が必要ない』と考えるのか、その根拠をお伝えします。日本には国民皆保険制度があって、誰でも公的医療保険に加入していますよね。例えば、会社員だった方は健康保険、個人事業主や退職後は国民健康保険に切り替わるという形です。この制度のおかげで、病院にかかっても自己負担は基本的には3割、70歳以上なら2割で済みます。

でも、『それでも大きな病気になったらどうするの?手術や入院でお金がかかるんじゃない?』って思う方もいるでしょう。確かにその通りで、ぼくも最初はそう思っていました。

保険の収支はマイナスになる

ちなみにぼくはこくみん共済の保険に加入しているのですが、契約内容は医療保障60歳2口、総合保障60歳4口で月額5900円となっています。ちょっとわかりづらいと思うので、わかりやすく言い直すと月額2300円の医療保障を1契約、月額1800円の総合保障を2契約していて、合計で5900円となります。

保険契約をしたのがいつからだったのかもう忘れてしまいましたが、仮に40歳からだとして60歳までの20年間で141万6千円を支払っています。この間、幸いにも保険を使うことはありませんでした。もちろん何事もなく保険を利用するような事態が起きないことがいちばんなのですが、ただ金額ベースで言えば140万円近いお金が消えていったことになります。

もし病気や怪我で入院し保険を利用した場合を考えてみます。ぼくの契約内容だと病気の場合、入院1日20,000円と、手術で6万円となっています。

厚生労働省の「令和2年患者調査」によると病気やケガによる入院の平均在院日数は32. 3日ですので、入院32日と手術1回で、20,000円×32日で60万円プラス6万円、合計70万円戻ってくる計算です。もし保険を契約していた20年間の間にこの入院する事態が1回あったとしても、支払った140万円に対して、保険から受けられる金額は70万円しかなく、収支でいうと70万円のマイナスです。

何が起こるかわからないから保険に入るわけですけれども、じぶんの感覚としては1ヶ月以上も入院しなければいけないような病気や怪我、あそうそう何度も身に降りかかるとも思えませんし、かりに大きな病気にかかり入院が長引いたとしても、そもそも保険で保障される入院日数は上限がある場合が多く、払った分以上に、保険が助けてくれるケースは少ないように思います。

年齢が上がるにつれて保障内容が減る

もう一点、大事なポイントがあって、60歳以降に加入したり更新したりする医療保険って、実は若い頃に比べて保障内容が減ってくるんです。ちょっと、ぼくの加入しているこくみん共済を例に話をしてみます。ここではわかりやすく総合保障を最小単位である2口で契約している場合を例に話しますね。

59歳までは「死亡・重度の障がいが残ったとき」、交通事故で1200万円支払われますが60歳からはその4分の1の300万円しか支払われません。不慮の事故の場合も800万円が200万円へ、病気の場合でも400万円が100万へと支払われる金額がそれぞれ4分の1に減額されています。これ毎月の保険の支払金額は同額であるにも関わらず保障が4分の1に減額されるんです。

もうひとつ医療保障タイプでも比較してみましょう

高齢になるほどなんらかの病気のリスクが高くなるので医療費の保険はほしいですよね。でもやはり59歳まで「先進医療を受けたとき」の最高額は1000万円までですが、60歳からは半分の500万円に減額されます。また入院したときは59歳までが日額10000万円なのに対して、60歳からは日額6000円、65歳から69歳までは日額3000円、70歳を超えると日額1500円とどんどん保証額は減っていきます。

年齢が上がると病気リスクが高まるので、保険会社としても支払額を抑えるか、保険料を高くするか、どちらかの対策をしないと商品として成立しなくなるのだと思います。保険会社だって営利を目的とした企業ですから当然ですよね。でも保険を契約する側としては保険料は高くなるのに保証は減ってくるってことですよね。なんだか割に合わない気がしませんか?笑

さらに、リスクの話もあります。貯蓄型保険は別として、医療系の保険は支払った金額は病気にならなかったら1円も戻ってきません。かりにこれからの20年間、保険のお世話になるような大きな病気をすることなく、そこそこ健康に過ごせた場合、また140万円がまるまる損です。それだったらそのお金を貯金しておいて、病気になってしまったらそのお金を取り崩して入院や治療費に充てるほうが合理的じゃないですか。病気にならなかったらそのまま貯蓄として残るわけですし。そしてもし医療費が高額になってしまった場合でも、高額療養費制度という制度があります。これは医療費が高額になったときに、その大部分を公的にサポートしてもらえるありがたい制度です。この制度を利用すれば、病気になってもならなくても大きなお金が減ることはまずありません。だからこの制度を前提に考えれば、医療保険の契約は必要ないのではないかと、考えています。

なぜ医療保険が必要ないと言えるのか

(1)民間の医療保険の落とし穴

よく「がん保険」や「入院保険」を勧められますが、以下の理由で不要なことが多いです。

  • そもそも自己負担は月9万円まで。(高額医療費制度利用)
  • 保険会社の給付金は「入院日数」に応じたものが多い
    厚生労働省の「令和2年 患者調査」によると、退院患者の平均在院日数は32.3日となっています。近年、医療の短期化で年々入院期間が短くなってきていて長期入院はほぼない。
  • 保険料を払い続けても、結局使わないケースが多い

例えば、月5,000円の保険料を30年間払い続けると合計180万円になります。 → 実際に入院しても高額療養費制度で9万円程度の負担なので、「保険に入るより貯金したほうが得」という結論になります。 ※個室代金や給食代金、高度先進医療費用は高額療養費制度の対象外となります

(2)生命保険はどうか?

生命保険は「遺された家族のため」に加入するものですが、以下の点を考えるべきです。

  • 独身や子どもがいない場合、必要性はほぼゼロ
  • 子どもが独立した後も、無駄に加入し続ける人が多い
  • 住宅ローンには「団信(団体信用生命保険)」があり、加入者が死亡するとローンがゼロになる

つまり、家族の状況に応じて「本当に必要か?」を考えないと、無駄な保険料を払い続けることになります

あえて、医療保険に向いてる人というのを考えてみると、『貯金がニガテな方』とか、『家族に迷惑をかけたくないという思いが強くある方』くらいじゃないでしょうか。

でも、定年後は収入が減る中で、コストが上がったり保障が減ったりする保険に毎月お金を払い続けるのは、正直合理的じゃない気がします。それなら、保険料を貯蓄に回して、いざというときは高額療養費制度に頼りつつ、その貯蓄から治療費を支出するほうが現実的だと思います。

もちろん、『保険があると精神的な安心が得られる』というメリットもあるので、そこは個人の価値観次第です。でも、定年退職となる60歳以降は生活費を見直すタイミングでもあるので、毎月何千円もする民間の医療保険を見直すのは賢い選択肢じゃないかと思うんです。

高額療養費制度とは?

さて、ここで大事なのが『高額療養費制度』です。この制度を知ると、実は医療費の負担がそこまで怖くないことが分かります。

この制度は、1か月の医療費が一定額を超えた場合、それを超えた金額が後から戻ってくる仕組みです。自己負担の上限額は、年齢や収入によって変わりますが、例えば70歳未満で年収が約370万円から770万円くらいの標準的なケースだと、1か月の上限は約8万円プラスアルファになります。

ちょっと具体例で見てみましょう。例えば、あなたが70歳未満で年収約370万円〜約770万円だとします。退職後にこんなに年収があったら羨ましいですけど…笑 それはさておき、ある月に大きな手術が必要になり、総額で100万円の医療費がかかったとします。3割負担だと30万円払う計算ですよね。でも、高額療養費制度を使えば、自己負担の上限が約8万7,430円くらいになります。つまり、30万円のうち、約21万円分が後から戻ってくるんです。これ、すごく助かりますよね。

もっとも多いと思われる年収156万円~約370万円でも試算してみましょう。医療費の総額100万円と、その3割負担を負担し30万円払う、ここまでは同じです。ただこの年収の範囲ですと自己負担の上限額は57,600円となります。ですから支払った30万円のうち、約24万円はあとから戻ってきます。

次に、70歳以上のケースも見てみましょう。70歳以上の方は、2022年の改正で、所得に応じて自己負担が1割、2割、または3割になります。一般的には課税所得145万円以上の人が2割負担で、これが多くの人に当てはまると思われます。

仮に100万円の治療費がかかった場合、2割負担だと最初に20万円払います。でも、高額療養費制度を使えば、一般所得者の場合、1か月の自己負担上限が外来なら1万8,000円、入院も含めると5万7,600円になります。つまり、20万円払ったとしても、約14万2,400円が後で戻ってくる計算です。

もし低所得者で1割負担なら、10万円の支払いで済み、戻ってくる額は約4万2,400円。逆に現役並み所得で3割負担だと30万円払いますが、上限は約8万7,430円なので、約21万円が戻ります。所得によって上限額が変わるので、自分の状況を事前に確認しておくと安心ですね。

ざっくりいえば定年退職後、一般的な収入の範囲に入る方は医療費の上限は57,600円で、それ以上の医療費がかかった場合、申請すれば後からお金が戻ってくるということです。ただこの高額療養費制度は、入院の際の個室代金や給食代金、高度先進医療にかかる費用は対象外となります。ここだけご注意ください。この制度があるおかげで、『医療費が何百万円もかかる!貯金が底をつく!』みたいな極端な心配はしなくて済むはずです。

終わりに

今回は、『定年後は医療保険が必要ない』という視点から、高額療養費制度を中心に解説してきました。もちろん、人によっては『それでも安心のために保険に入りたい』という方もいるでしょう。でも、公的制度をしっかり理解して活用すれば、無駄な出費を抑えつつ、いざというときも安心して暮らせるんじゃないかと思います。

この内容が皆さんの保険見直しや老後の生活設計に少しでも役立てば嬉しいです。

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