キックボード

キックボードに【旅の可能性】をみた。ウォーキングの運動量なのにジョギングのスピードで移動できる。

キックボード

キックボードにはじめて乗ったとき「これで旅をしたらきっと面白いはず」と直感しました。キックボードで出せるスピードがランニングのスピードととても近かったからです。

ぼくが今まででいちばん長くつづいている趣味はランニングなんですが、そのなかでも旅をするようにたのしみながら走るマラニックやジャーニーランが好きなんです。マラニックというのはマラソンとピクニックを合わせた造語で、走っていろなスポットを巡っていくランニングのたのしみかたです。クルマでドライブみたいなものですね。クルマで移動するるかわりに走って移動するイメージを思い浮かべてもらえばわかりやすいかもしれません。またジャーニーランは名前のとおり走って旅をすることです。こちらはマラニックよりもう少し長い距離、あるいは長い時間をかけた走り旅になります。ちかごろはジャーニーランを謳う大会などももあり、なかには一週間ちかくかけて500キロを超えるような距離を走る大会もありますが、ぼく自身はそういった大会よりも、じぶんで行き先や行程を決めて走る、長くても2日ぐらいまでジャーニーランが好きです。


車やバイクをつかった旅では交通手段はあくまでも目的地へ着くための手段となりがちです。でもジャーニーランの場合は移動そのものが旅の目的といえます。ジャーニーランの移動スピードは遅いですが、そのぶん車の移動では見落としてしまうようなちいさな発見や気づきがあります。身ひとつの移動なので、思いついた瞬間に止まったり路地を曲がって裏道に入ったり、気になったことがあればすぐ思いのままに進むことができます。


キックボードは、ランニングのスピード感、気ままさにとても似ています。キックボードで出せるスピードの上限はほぼランニングと同じです。なぜならキックボードはじぶんの足で地面を蹴ってすすむ乗り物だからです。だからランニングと同じで脚を前後に送る速さ以上のスピードは出せません。でもランニングよりはすこしだけラクに移動することができます。キックボードの大手メーカー、オクセロのキャッチコピーは「歩くよりも3倍はやく3倍遠くへ」です。ランニングをすれば歩くより2倍はやく、2倍遠くへいけます。全力で走れば3倍速く3倍遠くへもいけます。ですがランニングは歩くより2倍、3倍疲れてしまいます。でもオクセロのキャッチコピーの言わんとすることは「歩くよりも3倍はやく3倍遠くへ…しかし疲労度は歩くと同程度」なのです。ここがキックボードとランニングの大きなちがいです。


キックボードがまったく疲れないわけではありません。でもランニングとくらべると心臓や肺にかかる負荷がちいさく、息を切らしたり大汗をかくことはありません。長距離ランニングのトラブルの多くは、大量の汗をかくことによって起こります。ジャーニーランなどで100 km を超える距離を移動すると、汗による擦れ・股ずれや、また長時間の運動による体の痛みや脱水症状による体調変化など、さまざまなトラブルに見舞われることがあります。でもキックボードの場合、たしかに脚の筋力はそこそこ使うのですが、地面を蹴ることによって得られた推進力を無駄なくタイヤの回転にかえて進むことができます。ひとけりふたけりして脚をボードの上に揃えて立っていれば10m~15 mも進むことができます。蹴るという動作のあとに体を休める時間があるとことで運動の負荷がかかり続けることを防いでくれます。


長距離ランニングでは、たとえトラブルが起きなくても、100 km を超える距離になってくると疲労が溜まり、走ることで精一杯で景色を楽しむ余裕はなくなってきてしまいます。ですがキックボードはランニングよりも体にかかる負担が少ないので、もう少し気持ちに余裕を持って景色をたのしんだりすることができるのです。ここがボクがキックボードは旅に向いていると思う大きな理由です。

自転車による旅も自由度は高いのですがランニングに比べるとスピードが速く乗車姿勢もロードバイクなどでは前傾になるので景色を見落としがちになります。やはり景色をたのしみながら行く旅の手段としては「ランニング」ぐらいのスピードがちょうどいいんです。キックボードはちょうどランニングと自転車の中間に位置するような乗り物です。自転車ほどのスピードは出せません。でも歩くと同じくらいの疲労度で、走ると同じくらいのスピードで進むことができます。ランニングのようにすべてを自分の背中に背負わなくても、キックボードのハンドルポストに荷物を取り付けて進むこともできます。旅の途中でトラブルがあったりいやになってしまえばすぐに電車やバスを利用することもできます。


キックボード価格ですがいちばん多いのが1万円ぐらいから2万円ぐらいまでの価格帯です。おもちゃとしてみれば高くかんじるかもしれませんが、乗り物を購入すると考えれば非常に安い金額ですよね。自転車だと最低でも5万円、ロードバイクだと30万円近く、あるいはそれ以上のものもたくさんあります。高い自転車だと雑にあつかうこともできないし、もし盗難にあったらたいへんですよね。でもキックボードが盗難にあったとしても自転車が盗まれた時ほどのダメージはありません。キックボードの値段は、がランニングシューズの値段と似ています。つまりシューズを買うようなつもりでキックボードを購入することができるのです。ドキドキできる体験にかかる「コスト」が低いこと、これはとても大事なことですよね。


道具はシンプルな方がおもしろいというのはぼくの持論です。キックボードはシンプルで未完成な乗り物です。ときにはキックボードがただのお荷物にかんじてしまうことがあるかもしれません。でもそんな未完成な乗り物をうまく使いながら旅をする、そう考えただけでワクワクしませんか。キックボードの旅、やりましょうよ。

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